愛馬のためにセンタードライディングを学ぼう
乗馬を始めて間もなくの頃、クラブに置いてあった分厚い本『センタードライディング』を読んだ。上巻下巻とあるのだが、上巻を読んでちんぷんかんぷんで全然意味が分からなかった。話が抽象的というか、イメージトレーニングが話の中心になっていて、あまり実践的でない様な気がして、途中で挫折した覚えがある。
そんな「センタードライディング」をなぜ今読み直そうとしたかというと、やはりこの本に書かれていた奥義が乗馬の上達の基本になっているのではないかと感じたからだ。
先日、クラブの指導員に乗馬の上達の条件を聞いたところ、
- 絶対的なバランス 馬がどんな動きをしても頭の位置が変わらないこと
- 馬の言葉・気持ちを読み取る能力
が必要と教えてくれたのだが、1番の絶対的なバランスを習得するには、「センタードライディング」に記述されている要素を身につける必要があるのではないかと考えた。
上巻は体やイメージの使い方の基本が書かれていて、下巻は馬のパフォーマンスをセンタードライディングを実践しながらいかにして高めていくか実践的な方法が書かれている。従って、まずは上巻で基本的な事項の確認をするのが望ましい。
今日は、体のセンターとは何かということを学んだ。
私の予想ではおそらく、この本で書かれているセンターとは臍下丹田のことではないかと思う。
臍下丹田とはおへそから指三本分ぐらい下で、指三本分ぐらい体の中心軸に近いところにあるところの様だ。
頭のてっぺんから体の中心軸の延長線上とおへそから指三本下のラインの延長線が交わるところがセンターであり臍下丹田なのではないかと思った。
確かに、総合馬術で全日本制覇した指導員の騎乗を観察していたら、指導員の乗り方は起き上がり小法師やヤジロベエの様に、馬の上に乗っている球体の接触点が常に一定で変わらないかの様な乗り方になっている。
体の中心軸が常に馬体に対して垂直であることが変わらない感じがする。
この完璧なバランスがあるから、馬のどんな動きにも邪魔せず随伴できるのだろう。
では、どうしたらその完璧なバランス、体のセンターを見つけて実践できるか。
まずは、股関節を中心に体を柔らかくすること。体幹を鍛えることが大切だと思う。
柔軟性と体幹の強さがなかったら、馬の動きを阻害して常にバランスが前後に揺れて崩れてしまうだろう。
私は、股関節の柔軟性の向上のためにヨガの鳩のポーズや開脚ストレッチを生活の中に組み込んでいる。その時に左右の硬さがどの程度か確認し、より硬い方を重点的に行う様にしている。また、体幹を鍛えることと体のセンターをイメージして使える様になるために、一番大きいサイズのバランスボールの上に両足をつけづに乗り、坐骨の動きだけで時計回りと反時計回りにボールを回す練習をしている。
これらの運動が奏功したのか、馬上で腿上げをする時に脚が随分と動くし上がる様になった。駈歩の時の随伴の感覚を掴むことができた。
やはり、乗馬には身体能力が必要だ。
自分の体を自在に操れてこそ、馬に的確な扶助を送ることができる。
自分の体から発せられる扶助は、馬と人の”コトバ”なのだ。
体を自在に操れるということは、馬に伝えるコトバの語彙が豊かであるのと同じで、最も分かりやすいコトバをその時々の状況に応じて馬に伝えてあげられるということになるだろう。
知らず知らずのうちにバランスが崩れて、馬に意図せぬ扶助を与えていたり、馬の動きを阻害する様なことがあるからうまく乗れないのだと思う。
馬に的確なコトバを的確に伝えられる様になるために、身体能力を高めて行かなければならない。
体のストレッチと、センタードライディングの基本事項を学び意識しながら騎乗することを今後の目標にして一歩一歩頑張ろう。
全ては愛する馬のために。
森のレストラン