孤独を味わう 孤独を楽しむ
一人であったかい飲み物を飲みながら本を読んだり、あれこれ考えを巡らせたり、何も考えずに夕暮れの空の色をただ見つめてみたり、初夏の風の匂いを感じてみたり、近所の家から聞こえてくる音を聞いたり、そんなことが楽しい。
気のおけない仲間と話すのももちろん楽しいが、一人で何かを感じる時間は心地よいものだ。
友達との時間は楽しいものだが、完全に分かち合うと言う事は出来ないものだと思う。
家族であっても同じ。
この世の中に自分の気持ちを完璧に完全に分かち合う人間は誰一人としていないだろう。
私以外の人々にとっても。
その意味で、人間や動物は絶対的に孤独な生き物だ。
逆説的だが、この孤独故に人間は繋がることができる。私の感じる孤独を同じではないだろうけれどあの人も感じているだろうと想像することが出来る。
そんな風に互いを思いやる事が出来れば、孤独は誰かを温める源泉になる。
時にはひりひりしたり、ガリガリしたり、くしゃくしゃしたり、ピリピリしたり、極寒の寒さの様にじんじん沁みてくる孤独。
時には清々しく軽やかで自由で、晴れわたった空の様な孤独。
孤独のいろんな味を味わった人はきっと誰かの孤独を自分に繋いで温める事が出来るだろう。
孤独のいろんな味を味わって自分の心をしっかりと見つめられた人は、自分にとって何が本当に大切で、自分が何を本当に愛しているかを知っている。
だから、シンプルに自分の人生を生きて愛して慈しむ事が出来る。そして、誰かの孤独を温める事が出来る。
静かな部屋で熱いコーヒーを飲む。
となりの家の生活音がする。